鈴虫の音から始まって、とめどなく考えたこと

関東ではもう秋の気配がする。
夜はクーラーも扇風機もいらないほど涼しくなり、耳をすませていると鈴虫の落ちついた音がきこえてくる。
きいていると、今日も1日頑張ったなあとリラックスできる。

音というのは、無意識に聞いていて、かつ心に影響されやすいものだと思う。
目に見えるものは瞼を閉じると見えなくなるが、耳はおおげさに手で塞がなければ音を遮断することはない。
だから、耳は常に臨戦態勢にあるというか、そんな感覚器官だと思う。

華やかな色は人の心と目を奪うが、音に関しては騒音でない限り、意識的に認識されることはない。
けれど、ジャズの流れているカフェが、無音よりもお洒落に感じるように、空間に流れる音は無意識に人の印象を左右する。
空間に漂う香りと似た効果があるのかもしれない。

だからショップを手がける人は、店舗の空間について考えるとき、レイアウトに加えてBGMと、最近は香りも意識的に演出するようにしていると雑誌で読んだことがある。

鈴虫の音はまだ続いている。この静かな音は、このように目的のない考え事をするのに適しているし、何もしていなければそんな考えにたどり着かせる音だ。